Ⅰ.文字·語彙(25点)
一、次の文の下線部の漢字の読み方を平仮名で書きなさい。(1 点×5=5点)
1.日本の建築は平安時代の①板戸や格子戸の②寝殿造りから③鎌倉時代の④武家造りを経て、⑤室町時代の書院造りへと移っていきますが、それにつれて和紙が多く用いられる様式になっていきました。
二、次の文の下線部の平仮名を漢字で書きなさい。(1点×5=5点)
「①きょうちょうせい 」や「②わ」が重視される日本社会は、その集団内部で③ぶんそうおうに暮らす限り、とても住みやすいのですが、一方では、人より④すぐれていたり、⑤おとっていたり、或いは集団の多数と異なるなる考えを持つ者がいる。
三、次の文の( )に入れるのに最も正しいものをA、B、C、Dから選びなさい。(1.5点×10=15点)
1. 物置の隅で、ほこり( )になっている古い人形を見つけた。
Aぐるみ B がらみ Cまみれ D ずくめ
2. 木村さんとは共通の趣味があるので、いつも会話が( )。
A 舞う B 弾む C 転がる D 跳ねる
3. 地域の( )に合った医療のシステムが求められている。
A 実情 B 実況 C実権 D 実在
4. その選手は、十年に一人の( )だと言われている。
A 玄人 B大家 C 巨匠 D逸材
5. 書類に( )があった場合、申請は受理されません。
A 不穏 B 不当 C 不備 D 不順
6. 約300年前の絵画の( )が終わり、来月から公開される予定だ。
A 回復 B 修復 C 復旧 D 復興
7. 経済だけでなく、法律にも詳しいのが彼の( )だ。
A深み B 強み C 高み D 重み
8. この学校は教育の( )として、職業体験活動を授業に取り入れる。
A 一環 B 一体 C 内部 D 部門
9. 林選手は3度目のオリンピック出場で、ついに( )の金メダルを獲得した。
A 意欲 B志願 C欲求 D念願
10. 以前はさまざまなジャンルの小説を読んでいたが、最近は( )推理小説ばかりだ。
Aますます Bしきりに C もっぱら D せめて
Ⅱ 文法(25点)
一、次の文の( )に入れるのに最も正しいものをA、B、C、Dから選びなさい。(2×10=20点)
1.子供にマッチを触らせたら、火事を( )。
A 起こすというものだ B起こして仕方ない
C起こさないではいない D起こしかねない
2.この柿は一ヶ月ぐらい涼しいところに( )と、おいしくなるんです。
Aおいておく Bおいてしまう Cおいてある Dおいている
3.喫茶店で、隣の席の話を聞く( )聞いていたら、私の会社のことだったので驚いた。
Aかりか Bのみならず Cともなしに Dどころではなく
4.なぜ「いじめ」のような事件が起きるのであろうか。いろいろ議論は( )学校の内部だけの問題でないことは確かである。
Aあるのみならず Bあるまでもなく Cあるにせよ Dあるかわりに
5.通信販売に人気が集まっている。確かに便利なものであるとはいえ、実際に品物を見ないことには( )。
A安心し手やまない B安心する限りだ
C安心するには当たらない D安心できそうもない
6.今の情報化社会では、メディアを通してさまざまな体験ができるようになった。だからこそ、実際に( )体験することの重要性も増してきている。
A身をおいて B身をもって C身をものともせず D身をよそに
7.今日は一日中( )だったので、足が痛い。
A立って立って Bたちっぱなし Cかけながら D立ち上がり
8.彼は優秀な男と( )昇進が早い。
A聞こえて Bみえて C考えて Dわかって
9.( )彼に理解してもらおうと色々説明したが、無駄だった。
Aなんとでも Bどうにも Cどうやって Dなんとかして
10.彼を失って、私には夢( )なければ希望( )ない。
Aと、と Bも、も Cは、は D が、が
二、次の古文を現代日本語に訳しなさい。(5点)
今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よづろのことに使ひけり。
Ⅲ 読解50点 (5点×10=50点)
文章(1)
思春期を迎えた最近の子どもがストレスに弱いのは、それまでの発達過程で適度にストレスにさらされる経験を十分にへてこなかったことが深く関係している。しかもそれは、彼らが社会化を十分に遂げてこなかったことと等しい。というのも、10代前半までの子どもは、それまでの生活圏を出てより広い社会的文脈のなかでいかにして自己を実現させるかという課題に取り組むなかで、もっとも強くストレスを味わうからにほかならない。 (正高信男『父親力』による)
問①: 筆者は、思春期を迎える前の子どもにとってどんな経験が必要だと考えているか。
A.家庭の外の社会で多くの社会問題に取り組む経験
B.日々の生活の場で自分自身と向き合うような経験
C.広い社会の中で自分を鍛えることができるような経験
D.日常生活の中で個人の発達段階に応じた役割を担う経験
文章(2)
以前、花見をしている時に「桜の花は本当にきれいな正五角形だね」と言ったら、風情のない人だと笑われたことがあった。確かに、桜の花びらには微妙な色合いや形、そして香りに加えて、散りゆく美しさがある。花を愛でる和歌や俳句は数限りないが、そのなかに「正五角形」という言葉が使われたことはおそらく一度もないであろう。科学者特有の美意識は、風流とはかなり異質なものなのだと悟った。
科学において本質以外を切り捨てるためには、大胆な抽象化と理想化が必要である。桜の花びらのたくさんの特徴の中から、「正五角形」という形だけを取り出すこと。これが抽象化である。実際に数学的な意味で完全な正五角形を示す花びらは少ないだろうが、そこにはあまりこだわらない。これが③理想化である。
自然界で正五角形のような対称性を示すためには、必ず規則的な法則があるはずである。花の場合、品種によって花弁の回転対称性が遺伝子で決定されていることは間違いないから、うまくこの遺伝子を突きとめられれば、花の形を決める普遍的な法則が見つかるに違いない。このように、抽象化と理想化によって自然現象は単純に整理でき、普遍的な法則を見つける助けになる。
(酒井邦嘉『科学者という仕事』による)
問②: 筆者は、自分が笑われた原因はどこにあると考えているか。
A.科学者らしくない趣のある表現で桜の花を褒めた点
B.自分が桜の美しさを理解できていなかった点
C.桜の花は自分が述べた形をしていなかった点
D.桜の美しさを科学者的な視点から表現した点
問③: ここでの理想化とは何か。
A.桜の花はどれも正五角形であるとみなすこと
B.桜の花には共通する特徴があるとみなすこと
C.桜の花には数学的な美しさがあると考えること
D.桜の花は他のどの花よりも正五角形に近いと考えること
問④: 筆者の考えによると、花の場合、抽象化と理想化によって何が期待されるか。
A.花には品種を越えた共通点があることが明らかになること
B.自然界に咲いている花の美しさに普遍性が見いだされること
C.花の形がどのように決まるのかその仕組みが解明されること
D.花の形の対称性が遺伝子によるものであることが証明されること
文章(3)
住居を買おうとするときは、その資産的な価値に重点を置いて考える人が多い。普通の人にとっては、一生に一度の買い物とでもいうべきもので、多額の金を費やさなくてはならないので、当然のことだ。買った後で、何らかの事情で売らなくてはならない羽目になったときに、価値が減少していたのでは、大損害を被る。
だが、住居にとってより重要なのは、その有用性である。住みやすさが必要なのはもちろんだが、自分のライフスタイルに合った構造になっているとか、生活のしやすい環境にあって利便性に富んでいるとかの点も、重要な要素である。それらは必ずしも⑤世間一般の価値基準とは一致しない。したがって、自分たちの考え方や行動様式に従い、それに照らし合わせて判断する必要がある。
特に、終の棲家として考えるときには、自分たちの生き方をはっきりと見極め、その視点に立ったうえで、選択し決めていかなくてはならない。年を取ってくれば、当然のことながら、行動する能力は衰えてきて、動き回る範囲は狭まってくる。
自分たちの余生がどのようなものになるかについて、計画を立てたうえに想像力を働かせて、確実性の高い予測を組み立ててみる。その未来図に従って、住むべき場所の見当をつけ、住居の大きさや構造などを決めていく。もちろん、将来の経済状勢の大きな変化に備えて、予算を大きく下回る出費に抑えておくことも必要であることは、いうまでもない。
(山崎武也『シニアこそ都会に住もう——田舎暮らしは不安がいっぱい』による)
問⑤: 世間一般の価値基準として筆者が本文であげているのは何か。
A.長期にわたって居住できる物件であること
B.将来売却するときにも有利な物件であること
C.購入者の生活様式に合った物件であること
D.購入時の費用負担が抑えられる物件であること
問⑥: 筆者の考えでは、年を取ってから住む家として住居を選ぶときに最も大切なことは何か。
A.老後の生き方や行動範囲に沿っているかを判断する。
B.老後は行動する能力が衰えるため家の構造を優先する。
C.未来の予測に沿って決めた予算と同じくらいのものを選ぶ。
D.いつか売るときのことも考えて資産的な価値を重視する。
問⑦: 住居選びについて、筆者が最も言いたいことは何か。
A.人が生活する上でどんな住居に住むかはとても大切であり、一般的な価値基準も参考にしたほうがよい。
B.他人と考え方が異なったとしても、自分の生活スタイルを重視して将来の住居を決定したほうがよい。
C.将来の経済状勢の変化に備えて、できるだけ資産価値の下がりにくそうな住居を選んだほうがよい。
D.年を取るにつれて住居の好みも変わってくるため、その時々の考えに合わせて住居を選択したほうがよい。
文章(4)
人間は、所詮、時代の子であり、環境の子である。わたしたちの認識は、自分の生きてきた時代や環境に大きく左右される。ある意味、閉じ込められているといってもいい。認識できる「世界」はきわめて限定的なのであり、時代や環境の制約によって、認識の鋳型ができてしまうから、場合によっては、大きく歪められた「世界」像しか見えなくなることもある。わたしたちは、⑧そういう宿命を背負っているのである。
だから、「世界を知る」といいつつ、実は、偏狭な認識の鋳型で「世界」をくり貫いているだけということが生じたりする。鋳型が同じであるかぎり、断片的な情報をいくら集めたところで、「世界」の認識は何も変わらない。固まった世界認識をもつことは、「世界」が大きく変化する状況では非常に危険なことである。
一方で、これほど情報環境が発達したにもかかわらず、⑨「世界を知る」ことがますます困難になったと感じている人も増加している。果てしなく茫然と広がり、しかも絶えず激動する「世界」が、手持ちの世界認識ではさっぱり見えなくなってきているからだ。たしかに、ただ漫然とメディアの情報を眺めているだけでは激流に呑み込まれてしまう。
いまこそ、時代や環境の制約を乗り越えて、「世界を知る力」を高めることが痛切に求められているのではないか。
もちろん、時代や環境の制約から完全に自由になることはない。しかし、凝り固まった認識の鋳型をほぐし、世界認識をできるだけ柔らかく広げ、自分たちが背負っているものの見方や考え方の限界がどこにあるのか、しっかりとらえ直すことはできるはずだ。
(寺島実郎『世界を知る力』による)
問⑧.そういう宿命とはどういう意味か。
A.現代の人々は考えが時代や環境に歪められ、「世界」の見方が定まらない。
B.現代の人々は時代や環境の制約を受けており、「世界」が正しく見えないこともある。
C.人間はものの見方が時代や環境に縛られ、「世界」が正しく見えないこともある。
D.人間は生き方が時代や環境に大きく影響を受け、「世界」の見方が定まらない。
問⑨.「世界を知る」ことがますます困難になったのはなぜか。
A.個人の世界認識が狭まり、実世界の時代の変化をつかみにくいから
B.個人の世界認識が固まらず、実世界の情報に惑わされてしまうから
C.個人の世界認識が、実世界のめまぐるしい変化や情報量に対応できないから
D.個人の世界認識が、高度に発達している実世界の情報環境に追いつけないから
問⑩.筆者は、「世界を知る力」を高めるためにできることは何だと考えているか。
A.今までの世界認識を改め、できるだけ多くの情報を得ること
B.時代や環境の制約を克服して、自分の世界認識の限界を越えること
C.情報の激流に呑み込まれず、自分の世界認識の枠から自由になること
D.自分の世界認識にできるだけ柔軟性を持たせ、その範囲を自覚すること
Ⅳ.作文(50点)
テーマ:「中日友好への提言」
注意事項:
①普通体で書くこと。
②字数は600~700字とする。
③自身の氏名と出身校を書いてはいけないこと。
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